■自身を破滅に導く道具

 だが、過激派組織にとってスマートフォンは最良のツールであると同時に、自身を破滅に導く道具でもある。

 情報機関のITリテラシーの向上と共に、容疑者の特定や追跡にスマートフォンが使われるようになってきているためだ。そして、容疑者が拘束された際には、端末のデータが裁判所に提出される。ただこの点に関しては、利用者のプライバシーを約束している大手IT企業には難しい問題でもある。

 容疑者の居場所を正確に把握するため、政府がスマートフォンのデータを広範囲に活用した例もある。フランスは2013年、マリの北半分を占領した過激派組織への攻撃でスマートフォンのデータを利用し、標的を割り出したとされる。

 AFPの取材に応じた元仏当局者は、「たとえSIMカードを変えても、端末そのものには独自の識別番号があり、一度検知されたら追跡は続く」と話し、スマートフォンを所有していると標的になりやすいため、「ここ数年は、使者を介して連絡を取り合う昔ながらの方法が取られる傾向にある」ことを明らかにした。(c)AFP/Michel MOUTOT