【10月26日 AFP】元陸上男子短距離のスター選手であるウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏がプロのサッカー選手になれるかどうかに関して、元アイルランド代表のアンディ・キーオ(Andy Keogh)は26日、同氏のプレーは「トランポリンのよう」という辛口評価を下した。

 豪Aリーグのパース・グローリー(Perth Glory)でプレーしているキーオは、五輪で計8個の金メダルに輝いたボルト氏がセントラルコースト・マリナーズ(Central Coast Mariners FC)とプロ契約を結べば、サッカー選手にとっては「ひどい仕打ち」を意味することになると主張した。

 昨年陸上競技から引退した32歳のボルト氏は、今年8月からマリナーズの練習生としてプレーしていたものの、契約交渉が行き詰まってもはやチーム練習には参加していない。

 豪紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は今週、ボルト氏の代理人は当初300万豪ドル(約2億4000万円)を求めていたが、マリナーズが提示した額は15万豪ドル(約1200万円)程度だったと報道。マリナーズ側の主張では、給与を増額することに合意する第三者が現れなければ、ボルト氏が契約にサインすることはないだろうとの見解を示した。

 イングランド・プレミアリーグのウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(Wolverhampton Wanderers)やカーディフ・シティ(Cardiff City)などでもプレーしていたキーオは、陸上男子100メートルの世界記録保持者であるボルト氏のサッカー選手としての実力について、FOXスポーツ(Fox Sports)に対し、「トランポリンのような」ボールタッチで「プロとしては通用しないだろう」との率直な評価を下した。

 母国代表としても通算30試合に出場した実績を持つキーオは、「Aリーグに注目を集めたことは良かったけれど、このリーグで彼がプレーすることに関しては、自分なら遠慮する」「(ポテンシャルは)少し示していたけれど、このリーグのプロ選手にとっては『ひどい仕打ち』だ」と強調。さらに、「彼が良いサッカー選手として戦力になれると本気で考えている人間がいるとすれば、評価を下せる立場にいない違いない」とつけ加えた。

 一方、マリナーズの指揮を執るマイク・マルベイ(Mike Mulvey)監督は、同日の記者会見でボルト氏に関する質問が集中すると、これらの騒動に構ってはいられないと強調し、「最新情報はない。彼はトレーニングに参加していないし、私は今いる選手たちのことに集中するだけだ」とほとんどの話をそらしていた。

 ボルト氏のサッカー選手としての才能に関して再度問われると、監督は「もう一度繰り返すが、私は土曜日(27日)の試合と、セントラルコースト・マリナーズと契約している選手たちに集中しているし、そうしなければならない」と答えた。(c)AFP