【10月10日 AFP】サッカーロシア代表の選出歴もある同国のスター選手2人が、カフェで官僚に暴行をはたらく事件を起こし、国内で大きな批判を浴びている。両選手には、最大で禁錮5年が科される可能性も指摘されている。

 事件を起こしたのは、ロシア・プレミアリーグのFCクラスノダール(FC Krasnodar)に所属するパベル・ママエフ(Pavel Mamaev)とFCゼニト(FC Zenit)のアレクサンドル・ココーリン(Alexander Kokorin)で、2人は8日にモスクワ市内の高級カフェで朝食を取っていた貿易産業省の官僚2人に難癖をつけ、1人を椅子で殴る様子が映像に残されていた。

 椅子で殴打されたのは韓国系のデニス・パク(Denis Pak)さんで、弁護士によると、パクさんは出自をばかにしてきた2人を叱責したことで攻撃され、脳振とうを起こしたという。

 この件についてはすでに警察による捜査が始まっているが、2人は同日、テレビキャスターを務める女性の車の運転手に暴行を加えて入院するけがをさせた他、女性の車を傷つけていたことが発覚し、こちらも刑事事件になっている。2人はこれまでにも、行動に問題のあった選手だった。

 事件に対する怒りの声はあっという間に膨れ上がり、公の場での大々的な批判にまで発展している。テレビ局は、過去に犯罪事件を起こしたロシアのサッカー選手を一覧にして紹介。国営テレビには業界関係者が多数出演して事件を激しく非難し、ロシアサッカー連合(RFS)の理事の一人は、番組内で「司法当局は事件をフーリガニズムに位置づけ、厳罰を科すと思う。最大で禁錮5年もあり得る」と発言した。

 ママエフの所属するFCクラスノダールは、「契約解除の方法を検討している」と明かしつつ、「最大限の罰金」を科すつもりであること、当面は謹慎処分とすることを発表した。ゼニトはココーリンの行為を「吐き気がする」と表現したが、捜査結果が出るまでは処分を保留するという。

 ロシア・プレミアリーグも「厳しい」処分を下すべきだと述べ、「2人の乱暴行為に怒っており、強く非難する」「今回の行為は、名門ゼニトとFCクラスノダールの名を汚すだけでなく、ロシアサッカー全体に暗い影を落とす」と話した。

 クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)は大統領の報道官を通じて、「全国民と同じように」事件について把握していると話し、映像を「実に不愉快」と評している。(c)AFP