■新しい物理学?

 ヒッグスやその他の素粒子の性質と仕組みを調べている科学者らは、標準模型の予測から外れる現象が起きないかと常に目を光らせている。

 その理由は、標準模型がダークマターやダークエネルギーを説明できないことと、重力の理論と整合性がないとみられるからだ。

 これらを説明するには、何らかの別の「新しい物理学」のモデルが必要になる。

 標準模型の代替理論として提唱されているものとしては、余剰次元の存在を前提とする理論や、標準模型で知られているすべての粒子に同質量の「きょうだい」が存在すると仮定する「超対称性」などがある。

 だが、どちらの理論も、裏付けとなる証拠はまだ見つかっていない。

 ATLASチームとともにLHCの実験プロジェクトに取り組んでいるCMSチームは、最新の観測結果もまた標準模型と「一致する」としている。だが、「新しい物理学が寄与する余地がまだ残されている」という。

「標準模型を超える物理学の存在が、ヒッグス粒子によって明らかになるかどうかを確かめるわれわれの研究をめぐっては、今後数年以内にさらに多くのデータが収集され、実験精度が向上するに違いない」とCMSは指摘している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux