【8月18日 AFP】米国の大学に在学中に共和党議員らとの関係構築を通じ米国政治への干渉を企てたとして起訴されたロシア人の女性被告が、自身の裁判費用を捻出するためウェブサイトを立ち上げた。

 シベリア(Siberia)生まれのロシア人、マリア・ブティナ(Mariia Butina)被告(29)は先月、米国の対敵情報活動員に逮捕され、無申告でロシア政府の工作員として活動した罪で起訴された。

 ブティナ被告のウェブサイトによると、被告は米首都ワシントンのアメリカン大学(American University)で学ぶために渡米。同大では「平和と有益な米ロ関係のために尽力」し、修士号を取得した。しかし「優秀な成績で修士課程を修了した後、身に覚えのない犯罪容疑で米政府に逮捕された」という。これまでにサイトを通じて寄せられた金額は記されていない。

■「目的のために恋人も利用」

 米司法省が裁判所に提出した書類によると、ブティナ被告は「ロシアの秘密工作員」であり、ロシアのスパイらと接触を続け、「米国の意思決定機関に潜入してロシア政府の計略を推し進める任務を遂行」していた」。

 また、ロシアでは個人の銃器所有は厳しく制限されているにもかかわらず、ブティナ被告はロシアで自身の銃権利擁護団体を立ち上げ、これを利用して米国の強力な銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」との関係を構築。さらに、共和党員の恋人男性を通じて複数の上院議員との交流に成功した。裁判資料によると、被告はこの男性を政界にネットワークを構築するために利用していただけで、男性と同棲関係にありながら米ロビー団体での仕事を得るために「枕営業」をしていたという。

 しかし、ブティナ被告は7月18日に行われた審問で、無申告で外国の工作員として活動することを共謀した罪と、実際に外国の工作員として活動した罪の双方について無罪を主張している。有罪となった場合、前者の罪では最大で禁錮5年、後者では最大で禁錮10年の刑が科される。(c)AFP