【8月18日 AFP】第18回アジア競技大会(18th Asian GamesAsiad)の競泳男子平泳ぎに出場するカザフスタンのドミトリー・バランジン(Dmitriy Balandin)は、2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得して以降、大きなスランプに陥っているものの、最大のライバルである小関也朱篤(Yasuhiro Koseki)と渡辺一平(Ippei Watanabe)は、そのことで油断する素振りは見せていない。

 2年前に行われたリオ五輪で、母国史上初となる競泳での金メダルを手にして以降、調子が急降下しているバランジンは、2014年大会の平泳ぎで50メートル、100メートル、200メートルの3冠を達成した王者として乗り込む今回のジャカルタ大会で、日本勢2人の強敵でないことは明白な状況となっている。それでも小関と渡辺は、バランジンが再び神がかり的な力を取り戻すかもしれないという認識を示した。

 2014年大会では50メートルと100メートルでバランジンに敗れて銀メダルとなり、昨年の第17回世界水泳選手権(17th FINA World Championships)の200メートル平泳ぎでもロシアのアントン・チュプコフ(Anton Chupkov)の後塵(こうじん)を拝して2位に終わった小関は、「バランジンは前回大会で、(平泳ぎの)3種目を制覇した。自分の泳ぎを向上させていく必要があることは間違いない」と警戒した。

「だけど、自分のレースに集中して、彼に気を取られないようにする必要がある。金メダルを獲得して、東京五輪までの2年間に向けて勢いをつけることが重要」

 リオ五輪の平泳ぎ200メートルを制して母国の英雄になったバランジンは、ハンガリーの首都ブダペストで開催された昨年の世界選手権で惨敗を喫しており、今月上旬に東京で行われたパンパシフィック水泳選手権(Pan Pacific Swimming Championships 2018)で平泳ぎ100メートルのタイトルを手にした小関は、バランジンの調子を予想するのは難しいと話した。

「彼の調子は読みにくい。実力通りのタイムを出していないから。だけど、速いことは間違いないし、ここぞというときに倒すのは難しい相手。彼を消耗させる必要がある。だけど、一平と自分は日本勢としてワンツーフィニッシュを狙いにいく」

 小関はまた、前回のハランジンのまさかの勝利について言及し、「前回の結果は受け止めきれなかった。バランジンはその勢いでリオ五輪で金メダルを獲得した。ブラジルでは多少運にも恵まれていたかもしれないけど、勝利に変わりはない」と話した。

 昨年平泳ぎ200メートルで世界新記録を樹立し、パンパシフィック水泳でも同種目の金メダルを獲得した21歳の渡辺は、「4年前のアジア大会は、まだ高校生だったのでテレビで観戦していたのを覚えている。バランジンはどこからともなく現れて優勝し、本当にすごかった。だけど、今大会では自分が金メダルを狙う。それが今年のはじめから、ずっと目標にしてきたこと」と話し、状況を最大限に活用する意気込みを見せた。

 アジア大会の競泳は、19日から行われる。(c)AFP/Alastair HIMMER