■合意の有無ではなく抵抗したかどうかでレイプを定義

 だが、たとえ裁判に持ち込んでも、韓国の法律はレイプの定義を、合意の欠落ではなく「暴力と脅しの手段」に基づき定めており、被害者に対してはレイプに抵抗したことの証明が求められる。そのため過去には、被害者は「十分に抵抗していなかった」とみなされ、原告の訴えが退けられたケースもある。

 韓国ウィメンズ・ホットライン(Korea Women's Hotline)によれば、現行法では、同組織に届く被害の訴えのわずか10%ほどしかレイプとして認められていないという。ジェンダーの平等に関する国連(UN)の専門家パネルは今年、韓国政府に対してレイプの定義を見直し、冤罪や名誉毀損訴訟の被害者を保護することを求めた。

 Dさんに乱暴行為を働いた男は服役後もDさんに対する訴訟を続けたが、2014年にストーカー行為と脅迫罪によって罰金刑を言い渡された。4年に及ぶDさんの試練はこれで幕引きとなった。

 以来Dさんは、自身が魔女狩りの犠牲者だったことから「魔女」と名乗り、虐待のサバイバーたちを支援する活動を続けている。

 Dさんは、「私のように、虐待された相手から訴えられた女性たちは大勢いる」と説明し、そして「私たちこそが被害者なのに、犯罪者として扱われることに怒りとフラストレーションを覚える」とその気持ちを口にした。(c)AFP/Jung Hawon