【8月4日 AFP】サッカードイツ代表のGKマヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)とMFトーマス・ミュラー(Thomas Mueller)は、元代表チームメートのメスト・エジル(Mesut Ozil)が同国サッカー連盟(DFB)による人種差別の犠牲者であることを否定する一方で、今回の騒動が選手たちに大きな打撃を与えていることを認めた。

 今年5月にトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と記念撮影をしたことで、ドイツ代表のMFイルカイ・ギュンドアン(Ilkay Gundogan)とともに母国への忠誠心を疑われる騒ぎに発展する中、エジルは先月代表を引退すると表明した。

 ともにドイツ生まれでトルコ系の両親を持つエジルとギュンドアンは、W杯ロシア大会(2018 World Cup)を控えた親善試合でドイツファンからブーイングを浴びせられた。ギュンドアンはエルドアン大統領との面会について、政治的意図によるものではないと主張していた。

 29歳のエジルはコメントを控えていたが、W杯本戦でドイツがまさかのグループリーグ敗退を喫した後に沈黙を破り、先月22日に代表から退くことを表明すると同時に、DFBのラインハルト・グリンデル(Reinhard Grindel)会長から人種差別的な扱いを受けたと告発した。

 しかしながら、ドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)と同国代表で主将を務めるノイアーは、代表チーム内で人種差別に関する何らかの申し立てがあったことについて否定した。

 ドイツ南部バイエルン(Bavarian)州でプレシーズンに向けたチーム練習に臨んでいるノイアーは、「自分たちは常に選手全員の平等性を保つように努めているし、選手たちが気持ち良く試合に臨めるように、チームメートに対して全力で尽くしている」とコメント。その一方で、エジルの発言は現代表メンバーを動揺させていることを認めた。

■「相当なストレスを感じる」

 ノイアーは「この問題に関して、あまりにも多くの記事やうわさが飛び交っている。もちろん、それは読んだ人間にとって、相当なストレスを感じるものだった」と話した。今回のスキャンダルについて口を開いたのはほんの一部の選手だけで、代表を率いるヨアヒム・レーブ(Joachim Loew)監督はこれまでコメントを出していない。

 ノイアーとともにバイエルンでプレーするミュラーも3日、「代表チーム内で人種差別の問題は何も起きていない」と主張したが、一連の騒動は関係者全員にダメージを与えているという認識を示し、「今回の議論は外部からたきつけられたものであり、連盟側や選手側のどちらの当事者からも信ぴょう性のある話は出ていなかった」と主張した。

 ミュラーはまた、騒動について「偽善的な討論でメディアがあおり立てているものだ」と表現すると、「こうした話題は面白半分に広まり、やがて社会が分断されていることに戸惑うことになる」と警鐘を鳴らした。

「他人のことを批判する前に、自分自身を見つめる必要がある」 (c)AFP