■経済システムの外側へ

 ドイツに住む倹約主義者の数は、まだ誰も集計したことがない。

 欧州最大の経済国ドイツは、戦後のベビーブーム世代がリタイアし始める2025年以降、年金を支払っていくための解決策を必死に探しており、退職年齢引き上げの可能性が浮上している。そうした中、倹約主義者たちの出現は、人口動態学の頭痛の種に対する一つの回答に見える。

 だが、その選択は、社会という共同体責任のおかげで例えば教育を受けたのに、公的社会保障や年金、健康保険などの支払額が少ない、あるいはまったく払わない人が増えたら、その共同体責任を負う社会は機能し続けられるのかといった批判を招く選択だ。

 ハートウィグさんは自分のブログ上で、彼のことを自分勝手だと批判する読者のメッセージをよく受け取っているが、それは「ねたみ」だと一蹴する。「確かに自分は年金制度への支払いが少ないかもしれないが、でも国の年金は欲しくはない」と言う。

 エンダース氏によると、伝統的な職業人生から脱出した倹約主義者たちの多くは新しい目標を求め、ボランティア活動に最も意欲を持つようになるという。こうした人々を批判するのではなく、「25歳の人々が40代で働くのを辞めたいと言うときにわれわれが考えるべきなのは、この社会が提供している労働生活の質についてなのだ」と同氏は指摘している。(c)AFP/Isabelle LE PAGE