【7月29日 AFP】サッカーW杯は幕を閉じたが、世界最大規模の難民キャンプではいまだ、ゲームへの情熱が燃え続けている。ミャンマーからの避難を強いられた100万人近くのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が暮らすバングラデシュのキャンプでは、赤と緑のバングラデシュ国旗のとなりで、ブラジルとアルゼンチンの国旗がはためいている。

 人里離れていながら過密状態にあるクトゥパロン(Kutupalong)難民キャンプでは、サッカーファンの間で分断、それも激しい分断が起きている。スペイン国旗や欧州トップクラブのユニホームがちらほら見られるものの、大半はブラジル派かアルゼンチン派に二分。バングラデシュ全土のサッカーファンの、やや特異とも言えるこだわりを映し出している。

 このライバル関係は、1986年のW杯メキシコ大会にまでさかのぼる。当時バングラデシュでは、ブラジル代表のレジェンド、ペレ(Pele)がすでに人気を博していた。だが、メキシコ大会ではディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)がアルゼンチン代表を優勝に導き、大勢のファンを獲得した。

 難民キャンプでは年齢を問わず、多くの男の子が「ネイマール(Neymar)」と名乗っていた。中でもひときわ目を引いたのは、ブラジル代表のスーパースター、ネイマールのように髪をブリーチしたジャハンギール・アラム(Jahangir Alam)くん(17)だ。ネイマールに最もよく似ていた──少なくとも難民キャンプのこの一角では。

「ネイマールが大好きなんだ。だからこの髪型。W杯楽しかったよ」と、ブラジル代表のユニホームを着たアラムくんはリフティングをしながら話した。(c)AFP