■都市部と地方部

 前週、コロラド州にある学校の校長や教師ら24人が、現役の警察官4人から3日間の訓練を受けた。

 コロラドの州法では、学校に配備の専属警察官と警備員を除き、学校敷地内に武器を持ち込むことが禁じられている。講座受講者の多くは武器持ち込みの資格を持たないが、自分たちが訓練を受けることにより学校区の方針が変わる一助となることに期待を寄せている。

 カリキュラムでは、拳銃についての基本事項や射撃練習、負傷者の手当ての他、アクティブシューター(無差別殺傷事件の実行犯)役の人や模擬射撃を使ったシミュレーションも行われる。

 高校の物理教師であるジョン・マクファーレン(John MacFarlane)さん(40)は、訓練を受けて、自身の学校区における保安プロトコルの脆弱(ぜいじゃく)性に初めて気付いたとし、「このことを校長と警備担当者に絶対に話す」と述べた。

 都市部から離れた地域で小学校と高校の施設管理を担当しているというウェインさんは、学校で何らかの事件が起きた場合、警察が現場に駆けつけて対応できるようになるまでに、自身の学校区では20~25分かかると推定されていると話す。

 だが、コロンバイン高校襲撃事件では、10代の少年2人が図書館でクラスメートに向けて発砲・殺害するまでに7分30秒しかかからなかった。

 この事件の生存者であるエバン・トッドさんは、もし教師らが銃の携帯を許されていたら、死者数はもっと少なかったと「間違いなく」思うと話している。

 一方で、批判的な意見も多数ある。

 銃規制の厳格化を訴える政治行動委員会「Colorado Ceasefire」の広報担当トム・モーゼル(Tom Mauser)氏は、「地方部では、それがいかに難しい問題になるかは認識している」としながらも、「教師は教師であるべきで、SWAT隊員になるべきではない」と語った。

 モーゼルさんは、コロンバイン高校襲撃事件で当時15歳だった息子のダニエルさんを亡くした。