【7月2日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は2日、インドネシアの治安部隊が2010年以降、同国最東部パプア(Papua)州で超法規的殺人による少なくとも95人の殺害に関与し、実行犯の多くが拘束されていないと告発する報告書を発表した。

 パプア州はニューギニア島の西半分に当たり、1960年代後半にインドネシアに併合されて以降、独立を求める激しい抵抗運動の舞台となっている。

 アムネスティによると、殺害された人の中にはインドネシア政府に対する平和的な抗議活動を行っていた政治活動家やデモ参加者のほか、非政治的な集会に関わっていた住民も含まれているという。

 また、アムネスティが2年がかりで犠牲者の家族、目撃者、人権団体、政治活動家、教会を中心とした地域コミュニティーに聞き取り調査を行った結果、1件も犯罪捜査の対象となっていないことが分かった。

 アムネスティインドネシアのウスマン・ハミド(Usman Hamid)氏は報告書において、「人権にとってパプアはインドネシアのブラックホールの一つだ。ここは治安部隊が責任を問われることなく長年にわたって女性、男性、そして子どもたちを殺害することが許されてきた地域だ」と指摘。

 また、「治安部隊の中にあるこの刑事免責の文化は変わらなくてはならない、そしてこれまでに殺人に関与した者は責任を問われるべきだ」と強調した。

 一方、インドネシア政府は報告書に関するコメントの要請に応じていない。

 アムネスティによると、殺害された人のうち39人はパプア州で掲揚が禁止されている「モーニングスター(Morning Star)」という旗を掲げる平和的な政治活動に関わっていたという。(c)AFP