【6月28日 AFP】岩石惑星の表面を覆い、生命の出現を可能にする地殻の形成は、地球よりも火星の方が1億年以上早く起きていたとする研究論文が27日、発表された。これまで考えられていたよりも早い時期に地殻が形成されていたことになる。

 研究チームは今回、「ブラック・ビューティー(Black Beauty)」の愛称で知られる火星由来の隕石(いんせき)のサンプルを分析。抽出した鉱物ジルコンの粒子から、火星表層の固化が、今から45.47億年前に起きたことを突き止めた。これは太陽が誕生してからわずか2000万年後にあたる。ブラック・ビューティーは2011年、北アフリカのサハラ砂漠(Sahara Desert)で発見された。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文の主執筆者で、デンマークの宇宙関連研究施設「Centre for Star and Planet Formation」の科学者マルティン・ビザーロ(Martin Bizzarro)氏は、「火星には、地球よりはるかに早い時期に、海洋を持つ環境と生命が存在していた可能性がある」とAFPの取材に語った。

 数理モデルを用いたこれまでの研究では、火星が固化するまでに最大で1億年を要したことが示唆されていた。

 研究では、形成初期の火星において、溶けたマグマが固まる過程でジルコン内部に閉じ込められたウランを調べた。放射性崩壊でウランから変化した鉛の量を測定することにより、ジルコンが形成された地殻の正確な年代を測定することが可能となる。ビザーロ氏は「ジルコンはタイムカプセルのようなものだ」と説明した。

 惑星の形成に関しては、2つの主要なモデルが提唱されている。

 一つは、惑星形成が段階的に進行するとするモデルだ。小さな塵(ちり)粒子が合体して直径10~100キロの岩石質の「微惑星」が生じ、これらが衝突して原始惑星(惑星胚)ができ、その後に惑星が形成される。これが5000万年~1億年の時間スケールで進行する。

 もう一つは「ペブル降着」モデル。このより新しいモデルでは、ガスと緩く結合した1~100センチサイズの固体物質(ペブル)が層状に集積することで惑星の成長が促進され、より急速に展開する。

「今回の研究データは、地球型惑星が非常に速やかに形成されることを示す、新しいモデルの裏付けになっている」と、論文の執筆者らは指摘している。(c)AFP/Marlowe HOOD