■度重なる健康問題

 ところが喜びもつかの間、試合終了のホイッスルが鳴って間もなく、心配な映像がSNSで拡散した。映像には、自分で歩くのも難しい様子のマラドーナ氏が、友人に付き添われてVIP区画のダイニングルームに向かうところが捉えられていた。また、制服を着た救急隊員2人が、同氏の血圧を測っているとみられる写真も公開された。

 アルゼンチンメディアによれば、マラドーナ氏は血圧が急上昇したとのことで、国内紙「オーレ(Ole)」は歩くことはでき、その後ホテルへ戻ったと報じた。マラドーナ氏は以前から薬物中毒などのさまざまな健康問題を抱えていて、2007年にはアルコール中毒による急性肝炎で病院へ搬送されるなど、命に関わる状態と報じられたこともあった。

 救急隊員の処置を受けているとみられる写真は、26日のうちに大きな話題となり、何人かの解説者はマラドーナ氏の状態を心配するコメントを残している。

 イングランドの元サッカー選手で、現在は解説者を務めるスタン・コリモア(Stan Collymore)氏は、マラドーナ氏は「少しサッカーから離れた方が良い」と考えており、ツイッター(Twitter)に問題の写真を添えて「何年か前には深刻な心臓の問題もあったはずだ。それなのに、国際サッカー連盟(FIFA)とスポンサーは彼を甘やかしている。彼自身もね。彼のことをどう思うかは別として、誰でも健康を享受する権利はあるはずだ」と書き込んだ。

 また、英BBCのマーク・チャップマン(Mark Chapman)キャスターも、変わり果てたマラドーナ氏の姿を見るのは「悲しい」とツイッターで話している。「私が子供の頃、マラドーナといえば世界最高のサッカー選手のことだった。ところが今の彼は、テレビ局のディレクターが笑いを取るために挿入するカットアウェーのネタになってしまったようだ。自分でやっていることではないとはいえ、悲しいよ」 (c)AFP