【6月26日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)に臨む日本代表は、攻撃的なスタイルを見せてグループリーグで敗退するという大会前の予想に反し、引き分け以上で16強に進出する状況で28日のH組最終戦に臨む。

 日本はW杯開幕2か月前に指揮官を解任し、ロシアに向けての準備を一度白紙に戻した。親善試合での出来の悪い結果やベテラン選手との確執などが報じられる中、日本サッカー協会(JFA)はヴァイッド・ハリルホジッチ(Vahid Halilhodzic)前監督を切り捨て、テクニカルディレクターを務める西野朗(Akira Nishino)氏を後任に就ける大きな賭けに出た。

 元日本代表監督のフィリップ・トルシエ(Philippe Troussier)氏は大会前にAFPに対し、自信を失った日本代表はノックアウトステージに進出する可能性はないとした。

 日本がグループHで敗退する可能性はまだ残されているが、予想を大きく上回っており、すでに敗退が決まっているポーランドとの試合で自らの命運を決めることができる。

■大胆に

 日本のサポーターにとっては、ジェットコースターのような数週間となった。

 西野監督就任後初めての親善試合となったガーナ戦、続くスイス戦で敗北したことで、不穏な空気がさらに深まった。

 それでも日本は、W杯直前のパラグアイ戦で白星を飾ると、開幕戦では10人のコロンビア相手に2-1と勝利を収めてアジアのチームとして初めて南米のチームを破るという歴史をつくった。

 24日のサディオ・マネ(Sadio Mane)擁するセネガル戦でも勝つチャンスは十分あったものの、お粗末なディフェンスにより2度追いかける展開となり、2-2で引き分けた。セネガルのアリュー・シセ(Aliou Cisse)監督でさえ、日本の方が上手だったことを認めていた。

 コロンビア戦は西野監督の大胆な采配によって勝利した。セネガル戦の前日、再び不利だとされていた日本の指揮官は、コロンビア戦のハーフタイムに何人かの選手が1-1の引き分けで終えようとしていたことを明かした。

「ハーフタイムに選手数人から『俺たちはよくやれている。引き分けでいい』という声が上がった。だが私は勝てるし勝たなければならないと言った。なので勝利を目指して攻撃的な戦術を与えた。このことがグループの首位にいる理由だ」

 気難しそうな外見とは裏腹に、西野監督はユーモアのある一面を見せている。

 試合を控え、セネガルの高さやフィジカルの強さにどう対応していくか聞かれると「ここ数日、選手たちに体重を5キロ増やして、身長を5センチ伸ばせという調整をしたが失敗したので、それ以外の方法で対応しなければ」とジョークを飛ばしている。

■全てを懸けて

 不運にも後半26分に追いかける展開となる中、西野監督はセネガルに対し、結果として素晴らしい采配を見せた。

 効果が消えたボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)のMF香川真司(Shinji Kagawa)の代わりに本田圭佑(Keisuke Honda)を投入。さらに疲れがみえたMF原口元気(Genki Haraguchi)に代えてレスター・シティ(Leicester City)のFW岡崎慎司(Shinji Okazaki)を入れた。

 本田は交代してから6分後、同点弾を決めた。

 勝利が決勝トーナメント進出に向けて重要だと理解している西野監督は、終了間際に宇佐美貴史(Takashi Usami)を投入した。

 この試合で日本はより白星に近かったが、勝ち点1の結果でも満足していると西野監督は語った。

 過去にその大胆なアプローチで批判も受けてきた元ガンバ大阪(Gamba Osaka)の指揮官は「(ハーフタイムに)後半に向けていくつかの改善点を提案し、選手たちに勝ちきれると伝えた」と語った、

「後半は勝ちたかったので2度同点に追いついた中で宇佐美を入れた。抑えの選手を投入するオプションもあったが攻めることを選んだ」 (c)AFP/Peter STEBBINGS