■残虐行為は今も罰せられず

「ベンバの部隊は、ベグア(Begoua)村の学校に近い私たちの家に来て、娘をレイプしました」。マリーさん(仮名)は、強迫症的に指で腕をさすりながら、そう声を震わせた。

「私が泣き出すと、他の奴らがやってきて、今度は私をレイプしました。夫がやめさせようとすると、奴らは夫を殺してしまいました」

 ICCは13日、犠牲者やその家族に対して「心身面のリハビリと物質的支援」を提供するため100万ユーロ(約1億3000万円)規模の基金を設立したと発表した。ICCは「あなた方は忘れられてはいない。あなた方が受けた痛手は認められており、早急に助けとなる対応を呼び掛ける」と述べた。

 ベンバ氏をめぐる法廷論争や犠牲者支援の動きは出ているものの、問題の残虐行為はいまだ罰せられていない。

 姉妹や母親の身に起きたことによって心に傷を負ったブアンガさんにとってICCの判断は、政府が国土の一握りしか統治できていない国で犯罪行為を繰り返す今日の武装組織のリーダーたちを喜ばせるだけに見えている。

「奴らは私たちの国で、人を殺し、レイプし、ありとあらゆることをした。それなのに私たちは、奴らに罪はないと言うのか」、「ICCは役立たずだ」とブアンガさんは語気を強めた。(c)AFP/Charles BOUESSEL