■発展途上国で多い自殺

 WHOによると、自殺の4分の3以上は発展途上国で起きており、スリランカのように紛争で引き裂かれた国々で自殺が多い。一方、先進工業国の中では韓国や日本などで自殺率が高い。フランスは過去15年間で自殺率が26%急減したが、今でも年間1万人ほどで欧州で自殺が多い国の一つだ。

 WHOによると、戦争や自然災害の経験者、また暴力や性的虐待の被害者では自殺の可能性がより高い。

また米当局によると、自殺の大半はうつ病や不安神経症など精神衛生上の問題が原因だが、他にも孤独や失職、最愛の人の死や異性関係の破局などが原因の場合もある。

 自殺はあらゆる社会階層や年齢層にわたっている。有名人の自殺後に後追い自殺をする傾向は若者の間で高い。軍や農業関連の職に従事する人、また民族的および人種的少数者も自殺の傾向が高い。

■ボーディン氏は「助けを求めていた」

 専門家らは、自殺は警告なしのことが多く、予想もしていなかった家族や最愛の人々は衝撃を受けると語る。

 ボーデインさんの恋人だったイタリア人女優のアーシア・アルジェント(Asia Argento)さんや、友人だった米女優ローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)さんは、彼は「強い男は助けを求めない世代」の人だったと死亡後の公開書簡で述べている。アルジェントさんは「死ぬ前にアンソニーが助けを求めていたことは知っているが、それでも彼は医師の助言を受け入れなかった」と書いている。

 そのような場合は医学的監視や心理療法が役立つと、専門家らは言う。また自殺未遂に終わった人が再び自殺を試みるリスクも高いため、医療スタッフ、緊急スタッフへの適切なトレーニングも必須だと指摘している。