【6月8日 AFP】殺人事件発生率が全米最悪の都市ボルティモア(Baltimore)の市警史上「最も腐った警察官」に7日、禁錮25年の有罪判決が下った。

 ウェイン・ジェンキンス(Wayne Jenkins)被告は、違法銃器の摘発を任務とするエリート部隊「ガン・トレース・タスクフォース(Gun Trace Task Force)」を率いる巡査部長だった。ところが、この部隊は街中から違法銃器を一掃するどころか、銃器を盗んで横流しし、麻薬密売人から金品を巻き上げ、犯罪の証拠をでっち上げるなど、数々の職権乱用を繰り返していた。

 ジェンキンス被告ら6人の警察官の裁判で明らかになった手口の一つは、次のようなものだ。彼らは麻薬密売人の疑いのある人物の自宅で金庫をこじ開け、中にあった20万ドル(約2200万円)のうち10万ドルを奪うと、残りの10万ドルを金庫内に戻し、あたかも今から金庫を開けるかのように動画を撮影していた。

 現地紙ボルティモア・サン(Baltimore Sun)によると、レオ・ワイズ(Leo Wise)連邦検事補は公判でジェンキンス被告について、「犯罪組織のように」指揮下の部隊を運営し「計り知れないほどの」悪事を行ってきたと非難した。

 キャサリン・ブレイク(Catherine Blake)連邦地裁判事は7日、ジェンキンス被告に禁錮25年を言い渡した。

 ジェンキンス被告はすすり泣きながら「たくさんの過ち」を犯したと法廷で謝罪。「罰を受けるのは当然だし、私は刑務所に入れられるべきだと思う」と述べたとボルティモア・サン紙は伝えている。

 ガン・トレース・タスクフォースの職権乱用の被害者は全員が黒人男性で、多くは麻薬密売人だった。警察官らは、自分たちの所業が当局に通報されることはないと分かっていて汚職に手を染めたとみられる。(c)AFP