【6月2日 AFP】観光客に大人気のスペインだが、同国の大都市住民の多くは、民泊仲介サービス「エアビーアンドビー(Airbnb)」のような民泊ビジネスに怒りをつのらせている。

 そしていよいよ、各地で市議会が対応に乗り出した。

 これまでに都市部では、観光客から収入を得るために大家らが長期の借家人を追い出し、さらに短期賃貸によって家賃が上昇しているという苦情が殺到していた。

 首都マドリードの市役所では、多くの新規則の導入を計画している。新たな規制下では今年末までに、アパートのうち95%の短期貸し出しが不可能になる。住宅所有者が賃貸住宅を宿泊施設とする許可を得るには、別の専用玄関があることを証明しなければならなくなり、これはほとんどの場合、満たすことのできない条件だ。だが、主要住宅の貸し出しが年間で3か月以下の家主には、この条件は免除される。

 マドリード市会議員で持続的都市開発担当のホセ・マヌエル・カルボ(Jose Manuel Calvo)氏はAFPに「これは極めて厳しい条件だが、それがわれわれの狙いだ」と語った。同氏によると、現在、マドリードでは約9000戸のアパートが観光客に貸し出されており、これは2013年から比べて6倍から7倍の数だ。そのうちの約2000戸がライセンスなしでの営業だ。

 国連世界観光機関(UN World Tourism OrganizationUNWTO)によると、世界でフランスに次いで観光客が多く訪れるスペインの他の都市でも、ホテル経営を脅かす共有経済型の短期賃貸ビジネスの増加に直面している。

 地中海の港湾都市バレンシア(Valencia)では、2016年以来、民泊アパートが30%増加した。マドリードやカタルーニャ(Catalonia)自治州のバルセロナ(Barcelona)ほど状況は切迫していないが、バレンシアの市長は多数の新規則が7月までに承認されるのを希望している。

 同市の経済開発調整担当のフリオ・オルモス(Julio Olmos)氏はAFPに「共有経済のこのモデルを止めることなく、コミュニティーの精神を守り、テーマパークにしないという市の希望に沿った規則を整備することが重要だ」と語った。

 市の計画では、ホテルに適用するのと同じ法律を、民泊型宿泊施設にも適用する。新規則の下では、実際には、1階または2階のアパートの部屋のみが、合法的に観光客に貸し出すことができる。

 こうした規則が確実に遵守されるよう、マドリードとバレンシアではバルセロナの先例に従う計画だ。

 バルセロナでは、民泊施設が正規の許可を所有していることを確かめるために、40人の職員を雇い、民泊サイトを見ながら宿泊施設をしらみつぶしに調べている。居住権運動の元活動家が市長を務める同市は、2016年半ばから2017年半ばまでの間に2300戸以上の民泊アパートの閉鎖を命じた。命令に従ったのは750戸を下回ったが、現在も抵抗している民泊施設には法的手続きが進められている。(c)AFP/Emmanuelle MICHEL