【6月12日 AFP】5枚1組のパッケージの中には、リオネル・メッシ(Lionel Messi)やネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)といった誰もが欲しがる選手がいるかもしれない──このパッケージを1日に800万~1000万個生産するイタリアの工場は、2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)へ向けて全力で稼働中だ。

 サッカーW杯で通算4度優勝しているイタリアだが、今回のW杯では60年ぶりに本大会出場を逃した。だが、パニーニ(Panini)社のステッカーやカードがあれば、イタリアがW杯を見逃すことはないだろう。

 パニーニは1961年にパニーニ家の4人の兄弟によって立ち上げられた。同社は、国際サッカー連盟(FIFA)との独占契約を結んでおり、1970年からW杯アルバムのシリーズを販売している。基本は50年間、まったく変わっていない。袋を開けて自分のアルバムにステッカーを貼る、あるいは交換する。

「単純なところがいいんです。親も子どもも楽しめるシンプルなゲームだから、パニーニは危機に陥ったことはありません」と、モデナ(Modena)にある同社の工場の責任者、シモナ・スピアッジャ(Simona Spiaggia)氏はAFPの取材に答えた。イタリアが出場しなくても、これまでのところ好調なステッカーの売れ行きに影響はなく、同氏は「ブラジルに別の工場があるが、中南米の一部を除いて全世界の分をここで生産しています。イタリアはその中のほんの一部でしかない」と話した。

 工場の機械も1960年代から変わっていないが、需要に対応するために生産ペースは1月から追い込みに入っている。従業員も130人から240人に増員した。「欧州選手権(UEFA Euro)とW杯、2年ごとに生産のピークがあるが、W杯の方がやや大きい」とスピアッジャ氏は語った。

 今ではステッカーやトレーディングカードもデジタル化され、インターネット版のコレクションがあるが、昔ながらの紙の製品の存在は脅かされてはいないようだ。スピアッジャ氏はそれを、紙の本と電子書籍の関係にたとえた。

 ネイマールやメッシ、ロナウドといったスター選手たちのステッカーは珍しいように思えるが、生産された段階で特別少ないわけではない。スピアッジャ氏は「もしもレアなステッカーになっているとすれば、それはファンが交換をしないために出回らないからだ。最初からレアなわけではない」と話した。

 結局のところ、誰のステッカーが入ってくるかは運と、工場の機械による交ぜ方にかかっている。この交ぜ方は、昔と変わった点の一つだ。初めの頃は、ステッカーをシャベルですくって壁にぶつけて交ぜていたという。(c)AFP/Stanislas TOUCHOT