■異常が発覚した場合の対処法は?

 検査で心臓に異常が見つかった場合、UCIの規則では「緊急時はチームドクターの判断に委ねる」と定められている。同様のケースとして、2016年に当時35歳だったベルギーのヨハン・ファンスュメレン(Johan Vansummeren)選手が検査で心臓に問題が見つかり、所属チームのアージェードゥゼル・ラ・モンディアル(AG2r - La Mondiale)でレギュラーから外された。パリ~ルーベで優勝経験を持つ同選手は、その2週間後にチームの決断に従って現役を引退した。

 グルパマ・FDJのチーム医師は、一つの改善点として外部の独立専門家に最終判断を託すことを提案しており、「心臓に欠陥または異常が見つかった場合、決断を下すのはチーム医師となっている。しかし、どのような検査を実施し、誰が決断を下すのかは外部の専門家に委ねるべきだと考えている」と述べた。

「私たちの仕事は、考えられるリスクや、それらを検知するためにどのような検査を実施すべきか追求し、そして欠陥が見つかった場合には、どのような予防措置や防止策を講じ、どのような形で規則として定めて適用させていくか探ることだ」

 ベルギーのプロコンチネンタルチーム、WB・アクアプロテクト・ヴェランクラシック(WB-Aqua Protect-Veranclassic)のクリストフ・ブラント(Christophe Brandt)監督は、AFPの取材に対して「用心を怠るようなことはこれまでないと思っている。(心臓発作が起きたり、それが衝突の原因になったりした場合)まずは、遺体を解剖して死因が判明するのとを待つしかない」と述べた。

「こうした事態は毎日、誰にでも起こり得る。選手がトップレベルのアスリートだったということだけに、注目しているわけにはいかない。さもなければ、また新たな悲劇が起きてしまう可能性がある」(c)AFP/Thomas BACH / Justin DAVIS