【3月26日 AFP】ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領がブラジルの建設大手オデブレヒト(Odebrecht)に対し、選挙献金と引き換えに40億ドル(約4200億円)近く相当の公共事業を受注させていたことが分かった。ブラジル紙エスタド・ジ・サンパウロ(O Estado de Sao Paulo)が25日、報じた。オデブレヒトをめぐっては中南米各国で政界汚職への関与が明るみに出ており、国際的な一大スキャンダルに発展している。

 オデブレヒトへの巨額の支払いは、ブラジル当局による汚職捜査で発覚した。エスタド紙によると、ブラジルとベネズエラの検察当局が保有している文書に、マドゥロ氏がその支払いを「非常に緊急」な案件と見なしていることなどが書かれていた。この支出は国家予算には計上されないものだという。

「2013年の大統領選の運動に対する3500万ドル(約37億ドル)の献金の見返りに、大統領(マドゥロ氏)はオデブレヒトの事業に充てる法外な資金を優先した」と同紙は伝えている。

 ベネズエラのタレク・ウィリアム・サーブ(Tarek William Saab)検事総長は、かねてマドゥロ氏に対する捜査は行わないと明言している。

 問題の文書によると、マドゥロ氏は2013年4月に大統領選に勝利して1か月たたないうちにオデブレヒトへの支払いを開始。同社が請け負った公共事業には、首都カラカスの地下鉄延伸工事や、ケーブルカーの建設計画などが含まれているという。

 ブラジルで大規模な汚職事件を引き起こしたオデブレヒトが絡む汚職疑惑は中南米各国に広がっており、21日にはペルーのペドロ・パブロ・クチンスキ(Pedro Pablo Kuczynski)大統領が辞任。エクアドルのホルヘ・グラス(Jorge Glas)副大統領も逮捕・起訴され、有罪判決を受けている。(c)AFP