【3月6日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が昨年10月にニジェール南西部で同国軍と米軍の共同パトロール部隊を襲撃し、両軍合わせて少なくとも9人の兵士が殺害された待ち伏せ攻撃で、IS系通信社がプロパガンダ動画を公開した。どのような共同作戦だったのか、また部隊がこれほど脆弱(ぜいじゃく)だったのはなぜなのか、改めて疑問の声が上がっている。

 昨年10月4日、米軍の特殊部隊と30人のニジェール軍兵士がマリ国境に近いニジェールのトンゴトンゴ(Tongo Tongo)村からの帰路、小火器や手りゅう弾、銃を取り付けた車などで武装した約50人のIS系勢力の戦闘員に襲撃され、米兵4人と少なくとも5人のニジェール兵が死亡した。

 IS系のナシル通信(Nashir News Agency)が公開した9分間の動画にはある兵士のヘルメットに装着されていたカメラが捉えた生々しい映像も含まれており、大混乱の中でこの兵士が撃たれて死亡し、その遺体の脇を歩く複数のIS戦闘員とみられる姿が映っていた。

 ISの最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者の映像や、ISの旗を掲げ戦闘員らが乗っているとみられる複数のピックアップトラックが砂漠を走行する場面もあった。

 パトロールは危険性の低い作戦だとされていたため、兵士らの装備は明らかにこれほどの攻撃に対応するには不十分だった。簡易な防弾服しか着ていない米兵らは銃撃を受けると、無装甲のスポーツ用多目的車(SUV)の陰に逃げ込んだ。

 少しでも身を隠そうと兵士らは赤い煙を出す発煙弾も使用したがほとんど効果はなかった。敵に圧倒されそうになった共同部隊は逃げるしかなかったが、乾いた土に低木しか生えていない現場で十分に身を隠せる場所はどこにもなかった。

 米国防総省は声明で、「ニジェールで2017年10月4日に発生したテロリストの攻撃に関するとみられる写真やISのプロパガンダ動画について承知している」と述べた。 

 情報収集活動に問題がなかったか、また部隊がなぜすぐに増援を得られなかったのかという疑問が残っている。国防総省の調査は終わっており、現在ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官が報告書を検討している。(c)AFP/Thomas WATKINS