【2月2日 AFP】ケニア政府が今週、民放テレビ3社を無期限で放送停止とする前例のない措置に踏み切ったことを受けて、政治党派間の論争が国民の基本的な自由についての怒りをはらんだ議論に発展している。

 首都ナイロビで先月30日、数千人規模の野党支持者が公園にひしめき合うなか、野党指導者ライラ・オディンガ(Raila Odinga)氏は「国民の大統領」への就任を宣誓する式典を行った。

 オディンガ氏は昨年のやり直し大統領選挙で当選し、現在2期目を務めているウフル・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)大統領と対立している。

 通常と異なり、式典に警備の警察官の姿はなく、催涙ガスや発砲などの暴力は見られなかった。式典後、公園に集まった人々は素早く解散した。

 ケニアの選挙は、長期化して混乱による死者が出ることもある。オディンガ氏の静かな「就任宣誓式」はそんなケニアの選挙にまつわる小さな出来事で終わっていたかもしれなかった。

 しかし式典の生中継を計画した3つの主要テレビ局を政府が放送停止としたことで政治的対立は一気に激化。政府を訴える裁判も起こされた。

 国営のKBCとケニヤッタ大統領が所有するK24が放送を続ける中、先月30日朝、民放のシチズン(Citizen)、KTNNTVの民放3社が放送を停止した。翌31日、フレッド・マティアンギ(Fred Matiang'i)内相は、3社は無期限に閉鎖されたと明らかにした。

 マティアンギ内相はオディンガ氏の式典は「良く演出された政府転覆の試み」だと述べ、「メディアがこの違法行為を助長した」と主張した。

 今月1日に市民団体が行った申し立てを受けて、高等法院はテレビ局の閉鎖を一時停止するよう命じた。

 政治アナリストのナンジャラ・ニャボラ(Nanjala Nyabola)氏は、ケニヤッタ氏が初めて大統領に就任した2013年以降政権はメディアに対する圧力を強めていると指摘し、次のように述べた。「(今回のことは)警戒心を抱かせるか?イエス。危険を高めるか?イエス。しかし、かなり前から進んできたことがエスカレートしたものなのです」 (c)AFP/Tristan MCCONNELL