■海氷の減少でアザラシ捕獲が困難に

 北極は地球の他の地域より2倍速いペースで温暖化が進行しており、氷の融解によってホッキョクグマが主食の若いアザラシを捕獲するためにより長い距離の移動を余儀なくされている。

「北極全体の海氷の存在量が10年ごとに14%の割合で減少しており、これがホッキョクグマの餌捕獲の機会を少なくしている可能性が高い」と論文は述べている。

 海氷の減少は、ホッキョクグマの夏季のエネルギー消費量が増加することを意味する。ホッキョクグマは夏の間、秋に再び氷が張るまでやはり絶食状態で過ごすからだ。

 USGSによると、ホッキョクグマの残存生息数は過去10年間減少傾向にあり、個体数がこの10年で約40%減少したという。

 研究チームは、捕獲したホッキョクグマに動画、位置、活動レベルなどを記録する首輪を装着することで、ホッキョクグマの代謝に関する理解をさらに深めることに成功した。

 さらに、捕獲したホッキョクグマから血液と尿のサンプルを採取して分析した。サンプルは最初の捕獲時と、その後解放して1週間あまり後に再度捕獲して採取した。

「ホッキョクグマの氷上での動きや活動パターン、エネルギー必要量などについて知るための技術が今回の研究で得られたことで、海氷にみられるこのような変化の影響をより詳細に理解することが可能になった」と、パガーノ氏は話した。(c)AFP