■人口4万人の町に6万人が流入

 ダイヤモンドや金、ウラニウムに富みながらも貧困に埋もれている中央アフリカ共和国は、5年前に当時のフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)大統領が失脚した後に始まった武装集団間の衝突で荒廃しきっている。

 国連(UN)によると戦闘で数千人が殺害され、100万人以上が家を捨てて逃げた。国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」も今年1月、医療センター7か所の閉鎖を余儀なくされた。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、人口4万人のパウアに、過去数週間に避難した人は6万人以上になる。

 食事も与えるという負担の大きさにもかかわらず、受け入れ家庭が避難民を迎え入れている。地元市場ではキャッサバでんぷんの価格が2倍、砂糖は3分の1、値上がりした。隣国カメルーンからトラック積みで運ばれてくる物資が、暴力のために激減したのも理由のひとつだ。

 ベルナデット・コルタ(Bernadette Corta)さん(24)は自宅2軒に、100人以上の難民を受け入れていると述べた。

 一番最後にパウアに到着した人々は、20の地元の教会が所有する土地に身を潜め、国際移住機関(IOM)が配布するプラスチックシートの下か、マンゴーの木の下で眠る。

■奪い合い

 NGOや国連は今のところ、パウアから離れた地域の死者数を確定できていない。その多くは立ち入るのに危険すぎるためだ。

 パウアの聖家族教会の広場では、止まったトラックの周りに数千人の空腹の人々が集まった。世界食糧計画(WFP)からの緊急食糧が降ろされたが、全員に行き渡るほどの量がないと気付いた一部の人々の間で、小競り合いが起きた。人々が米を奪い合う中、袋が破け、子どもたちは地面に身を投げ出して埃にまみれた米粒を拾い始めた。(c)AFP/Charles Bouessel