雪が降り始め、辺りも暗くなり、楊さんはすぐに通報した。女性を救助した救助隊隊長は、遭難しているのが李さんであることをすぐに察知し、救助に向かってくれたが、午後9時に救助隊が戻ってきた時、李さんはまだ発見されていなかった。

 一睡もできなかった楊さんのもとへ駆けつけた仲間の携帯電話が、午前7時頃に突然鳴った。李さんからだった。しかし電波が悪く、「活着(訳:生きている)」の2文字しか聞き取れなかった。

 午前10時、ヘリからの捜索が始まった。正午過ぎに李さんの救出に成功した。

「救助隊の人たちが私に向かって親指を立て、拍手をしてくれた。日本語はわからなかったが、李さんが助かったのだとわかった」

 李さんは軽度の凍傷を負っていたほかは無事だった。道に迷った後、雪が降り始めたため木のくぼみで寒さから身を守り、時々体を動かして温めながら明るくなるのを待ったという。

 スキーを始めて20年以上になる李さんだが、さすがに今回は恐怖を感じたといい、「今回の経験は、今後の人生に対する考え方を改めさせてくれた」と話している。

 在日中国大使館は、「2人の勇敢な行動は素晴らしいが、華僑や訪日客は、困っている人を助ける際は、勇敢な精神と同時に自分自身の身の安全にも注意し、不測の事態が起こらないようにしてほしい」としている。(c)東方新報/AFPBB News