【12月21日 AFP】英国の慈善団体がイングランド中部ノッティンガム(Nottingham)に、ホームレスの人々が日常生活で必要とする物品を無料で得られる自動販売機を設置した。こうした取り組みは世界初といい、団体は国内外の他の都市にも普及させたい考えだ。

 自販機を設置したのは英慈善団体「アクション・ハンガー(Action Hunger)」。自販機には水や栄養補助食品、靴下、生理用品などが入っており、地元のホームレスの人が専用のキーカードで取り出せるようになっている。

 アクション・ハンガーによると、キーカードを持つホームレスは「食料、衣類などの生活必需品をいつでも、全て無料で手に入れられる」。ただし、1日に取り出せるのは3品までだという。

 1日の上限を設けているのは自販機への依存を防ぐためで、自販機はあくまでほかのホームレス支援策を補完するものにすぎないとしている。

 アクション・ハンガーはノッティンガムのホームレス支援施設と連携してキーカードを配布しており、現地で必要とされているものも把握している。

 自販機には新鮮な果物、ポテトチップス、チョコレート、サンドイッチ、抗菌ローション、歯ブラシと練り歯磨きのセットなどのほか、本まで入っている。食料の大半は食料廃棄の削減を目指すスーパーやフードバンクなどが提供している。

 アクション・ハンガーは、英国のロンドン、マンチェスター(Manchester)、バーミンガム(Birmingham)、仏パリ、米国のニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトルを皮切りに、同様の自販機を世界のほかの都市にも設置していくことを目指している。

 英議会が19日公表した報告書では、ホームレス問題を「国家的な危機」とし、政府はこの問題に「受け入れ難いほど無関心」だと批判している。2016年には9100人余りが路上で寝起きしているほか、子ども12万人を含む7万8000世帯が家を持たず、保護施設で暮らしている。(c)AFP