【12月25日 AFP】段ボールでできた3本マストの小さな船。帆にはTシャツの端切れが、ロープには礼拝用の帽子から取った糸が使われている。水辺にたたずむ巨大なモスクの絵や、顔のない自由の女神像(Statue of Liberty)の絵もある。

 今、米ニューヨークで開催されている意外なアート展。出品作家8人は、キューバのグアンタナモ(Guantanamo)にある米海軍基地の収容所に収容中、あるいはかつて収容されていたイスラム過激派とされる人々だ。

 2001年9月11日に起きた米同時多発攻撃の後、米国が掲げた「テロとの戦い」とその名の下に繰り広げられた行き過ぎた行為の象徴が、グアンタナモ収容所だ。2002年に開設されたこの収容所には、同時多発テロ後に米軍がアフガニスタンで捕捉したイスラム過激派の容疑者約800人が収容された。

 この収容所で拷問や暴行があるとの報告を受け、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領は任期中の閉鎖を約束していたが達成できず、ドナルド・トランプ(Donald Trump)現大統領は収容所の継続を表明している。施設内には現在も41人が収監されている。

 米ニューヨーク市立大学ジョン・ジェイ刑事司法学院(The John Jay College of Criminal Justice)が企画したこの展覧会は、「海の詩(Ode to the Sea)」と題され、水をテーマとしている。

 だが、今展示の共同キュレーターで同司法学院の美術助教を務めるエリン・トンプソン(Erin Thompson)氏によると、収容者たちがグアンタナモで海を見たのは、2014年にハリケーンの影響で、収容者たちの視界を遮っている覆いを米軍が外した際の1度だけだという。

 展覧会の会期は来年1月26日まで。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE