【11月6日 AFPBB News】ブラウン管テレビは鍵盤打楽器や大太鼓に、エアコンは琴に、扇風機はエレキギターに──。使われなくなった家電製品をよみがえらせた電子楽器を合奏するイベント「エレクトロニコス・ファンタスティコス!〜本祭Ⅰ:家電雷鳴篇〜」が5日、東京都港区の「スターライズタワー」で開催された。

 企画したアーティストの和田永(Ei Wada)さんは、学生時代にオープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するバンドを結成。それをきっかけに、さまざまな中古の家電製品を電子楽器に改造し、演奏するパフォーマンス活動を開始した。例えば「ブラウン管ガムラン」は、テレビ画面に手で触れ、電磁波を足元のコイルまで通し、ギターアンプから音を鳴らす仕組みだという。

 イベントでは、10種類の家電を演奏。最後には、本来死者を供養するための行事「盆踊り」を、使われなくなった電化製品への弔いと重ね合わせ、「電磁盆踊り」を行い、約500人の来場者が電子楽器が奏でる軽快な音楽で踊りを楽しんだ。

「テクノやロックのサウンドが、かつての電化製品に宿っている。あらゆるテクノロジーに知恵や技術、工夫が詰まっていて、その根底にある面白さや宇宙の原理に触れるようだ」と和田さん。

 来場した都内在住の飲食業勤務、田中麻里菜(Marina Tanaka)さん(25)は「ブラウン管テレビや扇風機など、子供の頃に見たものばかり。懐かしさや切なさ、驚きと色んな感情が湧いた」と声を漏らす。「家電だとは思えなかった。完全に楽器だった。バンドとしても最高だった」と都内在住のアートプロデューサー、スパイラル松田(Matsuda Spiral)さん(53)も驚きを隠さない。

 今後は茨城県日立市や京都の拠点でも、ワークショップやコンサートを行っていく予定だという。(c)AFPBB News