【10月31日 AFP】米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)は30日、東南アジアと中東向けブロードバンドの提供エリア拡大を目的とする韓国の通信衛星を搭載したロケット「ファルコン9(Falcon 9)」を打ち上げ、機体の第1段を直立状態で着陸させることに成功した。垂直着陸の成功は2年間で19回目となる。

 現地時間30日午後3時34分(日本時間31日午前4時34分)、米フロリダ(Florida)州ケープカナベラル(Cape Canaveral)から打ち上げられた背の高い白色のロケットは順調に上昇し、地球から約3万6000キロ離れた静止軌道に韓国の「KOREASAT-5A」衛星を投入した。

 打ち上げから45分後、KOREASAT-5Aの軌道投入をスペースXが確認した。KOREASAT-5Aは、2006年に打ち上げられた通信衛星「KOREASAT-5」の後継機となる。

 ファルコン9ロケットの第1段は、打ち上げ数分後に分離。エンジンを噴射とグリッドフィン(格子状の小翼)での操作で海上に浮かぶ台船への直立状態での着陸を目指した。そして地上を離れてから約9分後、X印と「Of Course I Still Love You(もちろんまだ君を愛しているよ)」の文字が書かれた無人台船に無事到着した。

 着陸台に直立しているロケットの姿が中継画面に映し出されると、スペースXの解説者は「表面には焼けた跡が見られるが、無人台船上の第1段は確かにまだ無傷のままだ」とコメントした。30日の打ち上げは、スペースXにとって今年16回目のものとなった。

 宇宙愛好家で太陽光エネルギーの事業者でもあるイーロン・マスク(Elon Musk)氏が率いるスペースXは、ロケットを打ち上げた後、従来のようにそれを海中に投棄するのではなく、ロケットの部品を再利用する取り組みを進めている。

 これまでのところ、スペースXはロケットを海上の着陸台に12回、陸上に7回着陸させている。その目標はコストの削減で、最終的には宇宙旅行の費用を引き下げることだ。(c)AFP