【10月26日 CNS】中国・漢王朝時代の文学家、揚雄(Yang Xiong)の名言に「書、心画也(訳:書は心の画なり)」とある。書道は中国の伝統文化の一つであるが、キーボードで文字を書くのが当たり前となった現代、どれだけの人がきれいな字を書けるのだろうか?

 中国書道家協会の会員、方建勳(Fang Jianxun)氏は「今では日常生活でキーボードを使用することの方が確かに多いが、書道が好きな人にとってそれは関係ない」という。

「80後」と呼ばれる1980年代生まれの書道愛好家、劉晶(Liu Jing)さんは、子どものころ、父親の影響で書道を習い始めたという。最初は「永字八法」という運筆法を毎日1時間以上練習していた。大学生になり時間に余裕ができると、8時間以上も書道に没頭していたこともあったという。

 劉さんは「字がきれいだと自信につながるし、仕事でも認められることがある。書を通して他の伝統文化にも触れることができ、教養も高められる」と話す。

 中国教育部は2013年から書道を小中学校の教育にも取り入れており、学年に応じて硬筆・毛筆の授業を実施している。

 中国書道家協会の蘇士澍(Su Shishu)主席は、「子どもたちに漢字の美しさを感じてもらうことは重要。また、天道酬勤(訳:努力は報われる)、厚徳載物(訳:人徳を高く保ち、物事を受け止める心を磨く)といった中国に伝わる格言などを、書道教育を通してじっくりと伝えていける」と話す。

 確かに、文字はその人の性格が出ていたり、教養がにじみ出たりするのかもしれない。「字如其人(訳:字は人なり)」という概念は、現代でも中国人の心に深く根付いている。(c)CNS/JCM/AFPBB News