【9月27日 AFP】世界のラグビーを統括するワールドラグビー(World Rugby)が、学生ラグビーではタックルとスクラムを禁止するよう提言した研究を一蹴している。問題提起を行ったのはニューカッスル大学(Newcastle University)社会衛生研究所のアリソン・ポロック(Allyson Pollock)氏とグラハム・カークウッド(Graham Kirkwood)氏で、両氏は「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」に寄稿した研究で、若年世代のラグビーでは選手同士の衝突が絡んだ負傷が最も多いと主張した。

 ポロック氏とカークウッド氏は、関係閣僚は「プロのラグビー協会の前に子供のことを気にかけるべきだ」と訴え、学生ラグビーから衝突がなくなれば「けがのリスクを減らせる」可能性が高いとしている。そして主席医務官は「危険な接触」をなくすよう政府に働きかけてほしいと続けた。

 プロのラグビーの世界では現在、脳振とうの問題が大きな関心を集めているが、この記事はそうした中で発表されたものだった。それでもWRは、強い口調の声明文で両氏の主張に反論し、自分たちが進める安全対策が適切であることを強調した。

「ワールドラグビーと加盟連盟は、選手の安全と福利を真剣に考慮し、証拠に基づいた事前対策を施しており、あらゆるレベルで負傷のリスクを減らすよう努めています。ポロック氏の度重なる主張は、公平な統計に基づいたものではなく、彼女の極論と人騒がせな結論は、データに基づいていません」

「例えば、ほとんどのスポーツで負傷率が年齢とともに上がるということはよく知られていますが、今回の研究では、9~12歳と18~20歳のグループを混同しています。ポロック氏の見解とは対照的な、けがの定義を明確にし、適切に観察した体系的研究では、12歳未満のグループのリスクが他の人気スポーツと比べて異常に高いわけではないことが示されています」

「だからこそ、若い選手が学校やクラブでプレーするラグビーでは、コンタクトありやなしなど、さまざまな方式が導入されており、長い時間をかけて大規模な取り組みが行われる中で、事態は段階的に前進しています。けがを可能な限り管理することはあらゆるスポーツに課された責任であり、タックルの禁止はそのための活動を下火にさせるだけでしかなく、そして活動が減ればリスクが生じます」 (c)AFP