【8月1日 AFP】米国はドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の下で、少数の権力者が公金を横領して私腹を肥やす「クレプトクラシー(泥棒政治)」の国と見なされかねない──。トランプ大統領の利益相反問題を批判し続け、先ごろ米政府倫理局(OGE)局長を辞任したウォルター・シャウブ(Walter Shaub)氏は、7月31日付の英紙ガーディアン(Guardian)のインタビューでそんな危機感をあらわにした。

 シャウブ氏はトランプ氏の行動について「大統領職から利益を得ているという印象を生み出しており、その印象がすべてだ」と指摘。「トランプ氏が利益のために意図的に大統領職を利用しているのかどうか、尋ねまわらなければならないこと自体が悲惨だ。そうした印象は政府の信頼を損ねている」と苦言を呈した。

 さらに、トランプ氏のこうしたイメージのせいで「米国がクレプトクラシー呼ばわりされ始める恐れもある」との見解を示し、米国にとって不当な評価につながりかねないと懸念している。

 トランプ氏に関しては、違法行為はしていないようだが「その決定が政策的な目的に基づくものなのか、それとも自らの事業に関わる利益のためなのかが分からない」点が問題だと改めて強調した。

 トランプ氏は今年1月の大統領就任に当たり、保有する広大な不動産やゴルフ場などの資産を長男のドナルド・ジュニア(Donald Trump Jr)氏が管理する信託に移管。しかし、就任後も週末をたびたび自身のゴルフ場施設で過ごし、首都ワシントンにある高級ホテル「トランプ・インターナショナル・ホテル(Trump International Hotel)」で夕食を取ることもあった。

 同ホテルは米政府からリースされた建造物で運営されている。シャウブ氏はトランプ氏が連邦政府からリースされている形のホテルを運営するのは「非常に不適切だ」と述べ、「大統領であるならば米政府とビジネスをするべきではない」と批判している。(c)AFP