■完璧なバランス

 ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)がローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)で前人未到となる10度目の優勝を飾った一方、フェデラーは10週間に及ぶクレーコートシーズンを今年も見送っている。

 対してマレーは、今季11大会に参戦して25勝10敗、ジョコビッチは国別対抗戦デビスカップ(Davis Cup 2017)2戦を含む12大会に出場して33勝8敗を記録。ジョコビッチにいたっては、2009年以降の最低位となる世界4位まで転落している。

 適切なときにプレーし、必要なときは休むという完璧なバランスを見つけ出したというフェデラーは「30歳になったらこれまでを振り返り、自分がどれだけプレーしてきたか、どれだけ体に休養を与えてきたか、どれだけの練習をこなしてきたか、適切な量だったのか、やりすぎだったのか、もしくは足りなかったのかといったことを考えなくてはならない」と説明した。

「常に全体を調整するんだ。個人的にはそれがうまくいった。時にして体と精神は休みを必要とするんだ」

 ともに30歳になったマレーとジョコビッチは、フェデラーのように長期的な視点で考えていく必要があるとベッカー氏も指摘する。

 マレーは今シーズン、全仏オープンこそ準決勝に進出したが、全豪オープンでは4回戦敗退。昨年のローラン・ギャロスで生涯グランドスラムを達成したジョコビッチも、豪メルボルン(Melbourne)では2回戦負け、全仏オープンはベスト8止まりとなっている。

 そうした状況を受け、グランドスラムを1大会欠場するのは大したことではないというベッカー氏は「アンディやノバクにとっては、本当に体を休める上で教訓になったかもしれない。時間をかけて健康な体をつくり、無理なときはプレーしないといったようにね」とコメントした。

「アンディは全米オープン出場のことは心配せずに、長期的な視点で考えなくてはいけない。ウィンブルドンのような形で大会に入っていくなら、そもそも勝てる見込みはないだろう」

「ツアーは厳しいスケジュールだ。ノバクにも同じアドバイスを与えるよ―休めとね」 (c)AFP/Dave JAMES