■次なる「イケア」を目指して

 ベナン(Benin)に7年住んでいるスウェインは、アフリカ西部を2か月ごとに訪れ、そこで調達した材料をドレスやスカート、パンツに仕立てている。世界中のバイヤーは「ボックスショップ」のオンラインストアで43ものローカルブランドの商品を購入することができ、南アフリカと海外からの訪問者たちはソウェトの実店舗においてさらに広いセレクションが利用できる。

 このショップは店名どおり、大きな金属製の輸送コンテナ(ボックス)から作られている。オフィスやコーヒーショップ、そしてもうすぐ美容院やラジオ局も中に作られるという。ソウェトはアフリカにおいて、有名な観光スポットの1つだ。

「自分たちの商品を紹介する場を持たないファッションデザイナーや家具職人たちと、市場を繋げるのが第一だ」と同プロジェクトのコンサルタントであるXolo Ncanywa氏は語る。「我々は彼らに次なる『イケア(IKEA)』になることを望む」

 この計画に参加する事業家たちは、指導と実用的な支援、投資のアドバイスを「ボックスショップ」の11人の専門家チームから受けられる。小規模な事業家への終始一貫した実践的な支援は、南アフリカでは初めてのものだ。スウェインのようなデザイナーや製造業者たちは商品への援助を得るため、まずは「ボックスショップ」へアイデアを投げかける。そしてそこからアメリカを拠点とする非営利組織「テクノサーブ(TechnoServe)」からの後援を受けることとなる。

「車のトランクで商品を売っている彼らの、小さなまま終わる運命を変えてみせる」と語るのは「ボックスショップ」の共同創設者であるシュング・カニェンバ(Shungu Kanyemba)氏だ。「ボックスショップ」は成功した事業家たちに、材料調達や融資、人事問題や経営を含めた計画に対する評価とアドバイスを与える。またオンラインで販売する商品のための原材料の費用をリスクも踏まえて信用貸しするため、事業家たちは自腹を切らなくてすむ。ソウェトのショップは今、オーダーメイドのスピーカーや靴、家具、服、化粧品、そして淹れたてのコーヒーまで、多岐にわたる商品を扱っている。