■気温上昇による都市の経済損失は

 エストラーダ氏と研究チームは、都市の温暖化による将来の損失額を推算するために、平均の地球温暖化に関するさまざまな予測と、ヒートアイランドと潜在的な悪影響を組み合わせて用いた。

 その結果、サンプル範囲の真ん中に位置する中央値の都市では、年間損失額が2050年までに域内総生産(GDP)の1.4~1.7%、2100年までにGDPの2.3~5.6%に上るとの結論を得た。

「最悪の事態となる都市については、損失額が2100年までに最大でGDPの10.9%に達する可能性がある」と、研究チームは記している。

 ヒートアイランドによって、都市の気温と地球温暖化による経済的損失が「著しく」上昇すると、研究チームは付け加えている。

 このことは、植樹の促進、屋上や舗装道路からの放熱などのヒートアイランドの軽減を目的とする局所的な措置が、温暖化の抑制と損失の最小化に大きな違いをもたらす可能性があることを意味している。

 研究チームによると、地表面積の約1%にすぎない都市部は、生産高が世界総生産の約80%、エネルギー消費量が世界全体の約78%をそれぞれ占めているという。

 燃料の石炭、石油、天然ガスなどの燃焼で発生する二酸化炭素の排出については、都市部からの排出量が世界全体の60%以上を占めている。

 世界の国々は2015年に仏パリ(Paris)で、地球大気中の温室効果ガス濃度を抑制することにより、世界平均気温の上昇を産業革命前の水準から2度未満に抑えることを目標とすることで合意した。

 今回の最新研究では、1950~2015年の期間に世界の大都市1692都市で収集されたデータを使用した。(c)AFP