【5月10日 AFP】欧州陸上競技連盟(European Athletics)のスヴァイン・アルネ・ハンセン(Svein Arne Hansen)会長が9日、現存する欧州及び世界記録を白紙化する急進的計画に対する反応は「賛否両論」だと認めた。

 国際陸上競技連盟(IAAF)に提出された提案の下では、具体的な年月は未定であるものの、ある年より前に樹立された全記録が過去の記録として取り扱われることになるとされている。

 しかし、陸上界でまん延するドーピング問題の一掃を目的とする欧州陸連の計画については、男子走り幅跳びの世界記録保持者であるマイク・パウエル(Mike Powell)氏らから、厳しい批判の声が上がっている。1991年8月に8メートル95を跳んだ米国出身の同氏は、今回の計画は「無礼であり不当、そして侮辱だ」だと怒りをあらわにした。

 今月1日に開かれた欧州陸連の理事会で満場一致で承認された提案については、2003年に2時間15分25秒の世界記録を樹立した女子マラソンのポーラ・ラドクリフ(Paula Radcliffe、英国)氏も「ひきょう」であり、「私の名声や尊厳を損なうもの」と非難していた。

「欧州及び世界記録の信頼性を回復することを目的」とする記録白紙化の提案は現在、IAAFと検討中だと声明で正式に認めた欧州陸連のハンセン会長は、白紙化計画に対する議論が生まれていることは歓迎するとした上で、「案の定、反応は賛否両論だ。もちろん、最大の論争は今回の提案で個人的に影響を受ける可能性がある現記録保持者たちから来るものだ。われわれは、彼らの不安を認識し、寄り添っていかなくてはならない」と語った。

 また、選手やその他の「利害関係者」が考えを示せるよう、協議手段として電子メールアドレスを作成したというハンセン会長は、「仮に新たなアイデアやより良い手段が出てきた場合は検討されるべきだし、議論に盛り込まれるべきだ」と話した。

 一方、今回のプランに賛同しているIAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は今月初め、「アスリートや現記録保持者の中には、われわれが歴史を塗り替えようとしていると感じ、この提案に何か思うことがあるかもしれない。しかし、これは正しい方向への第一歩であり、きちんと組織的かつ計画的に行えば、このスポーツの信頼性を取り戻すことになると考えている」とコメントしていた。(c)AFP