■「簡単な解決策はない」

 ユーザーが自由にコンテンツを投稿できるサイトはどこもこうした問題に直面するが、フェイスブックはユーザー数が膨大なために特にぜい弱だと、ベンチャーキャピタル「フライトVC(Flight VC)」のパートナーでソーシャルメディアの専門家であるルー・ケルナー(Lou Kerner)氏は言う。昨年12月末時点で、フェイスブックのユーザー数は18億6000万人に達している。

「簡単な解決策はない」と同氏は言う。「彼らは再発防止に苦労するだろう。問題はどれだけ早く削除できるかだ」

 大半のソーシャルネットワークは暴力的で衝撃的なコンテンツを禁止しているが、投稿数が多いために、ほとんどがそうしたコンテンツの特定と報告をユーザーに依存している。

 一部のテレビ局が生放送で行っているように、投稿されるコンテンツを確認してから数秒遅れで公開することも難しいだろうと、IT市場調査会社エンドポイント・テクノロジーズ・アソシエーツ(Endpoint Technologies Associates)のロジャー・ケイ(Roger Kay)氏は言う。

「10億人以上が互いにつながっている状況では、人間のできることの限界は優に超えてしまう」。同氏はまたコンテンツに制限を課す際には、何が許されるのかについて「モラル的な判断」が必要だと指摘する。だが「フェイスブックはその役割を果たしたくないはずだ」と言う。

 フェイスブックにはユーザーの行動に対する法的責任はないが、それらに「適切な方法で対応する社会的責任がある」と同氏は語る。フェイスブックにとっては難しい綱渡りだ。コンテンツに甘過ぎるとみなされれば批判を浴びるリスクがあり、制限し過ぎても非難される。

 過去には「検閲」を非難されたこともある。例えば、昨年の夏、米国で黒人男性が警官に射殺される様子をその恋人が撮影してライブ配信していた動画を、フェイスブックがブロックしたために物議を醸した。ザッカーバーグCEOは後にこの決定を覆し、この動画は衝撃的ではあったが「私たちの社会で大勢の人々が日々抱えている恐怖」に光を当てたものだと語った。(c)AFP/Sophie ESTIENNE