■家族との葛藤

 ルペン氏にとっては、父親との決別が政治家としてのキャリアにおける転機となった。

 波乱の幼少期を過ごした彼女は、こわもての仮面をかぶるようになっていた。8歳のとき、家族で住んでいたパリのアパートが爆破され、住民6人が軽傷を負ったが、ルペン一家はかろうじて被害を免れた。

 それから8年後、母親が父親と娘3人を置いて家を出て行った。母親はその後間もなく、米誌「プレイボーイ(Playboy)」にヌード姿で登場した。ルペン氏はこのことについて「とてもショックだった」と、昨年フランスのテレビ局のインタビューで語った。母親とは15年間会っていない。

 2度の離婚を経験し、3人の子どもの母親となったルペン氏は今、私生活を表に出さず、パートナーでFNの副党首でもあるルイ・アリオ(Louis Aliot)氏とカップルとして姿を現すこともほとんどない。

 くぐもった声で鋭い批判を飛ばすルペン氏のキャリアのスタートは、退去処分に直面した不法移民を擁護する国選弁護士だった。だが今、ルペン氏はトランプ米大統領と同じように、国境を閉ざし「経済愛国主義」的な政策によってフランスの栄光を取り戻すと主張している。

 ユーロ圏だけでなく、EU内で旅券なしの越境を認めるシェンゲン(Schengen)圏からの脱退も望むルペン氏。雇用と公共住宅政策ではフランス第一主義を取り、フランス企業の国外工場で生産された製品には35%の課税を提唱している。(c)AFP/Clare BYRNE