【4月20日 AFP】米フェイスブック(Facebook)19日、年次の開発者会議で、ユーザーが思ったことをメッセージとして出力し、肌で言葉を「聞く」ことを可能にする新たなプロジェクトに着手していることを明らかにした。

 米国防高等研究計画局(DARPA)の元長官で、現在はフェイスブックの開発チーム「Building 8」を率いるレジーナ・デューガン(Regina Dugan)氏は、同日のプレゼンで、神経変性疾患が進んだ女性患者が、スクリーン上のポインターを「思い」のみで動かし、ゆっくりと文字を出力していく映像を公開した。

 デューガン氏は、現代のブレイン・コンピューター・インターフェース技術には電極の埋め込みなどを要するが、フェイスブックは光学イメージを利用し、脳への外科的な処置など侵襲的な行為を不要とすることを目指していると明らかにした。

 この技術では、人が考える言葉の概念や意味を捉え、心に思い描いたことを共有することになるため、言語間の差異が無意味となることも考えられる。

 デューガン氏はフェイスブックの自身のページで「われわれのアプローチは他とは異なり、非侵襲的なシステムの構築に重点を置いている。将来的にはコミュニケーション障害がある人の言葉を補い、またARの新たな入力手段ともなり得る」と述べ、拡張現実(AR)との関わりについても言及している。

 開発チームはまた、人の耳が振動を理解可能な音に変換しているのと同様に、肌で感じる感覚を言葉に変換するためのセンサーの開発にも取り組んでいる。いわば、肌を通じて言葉を「聞く」ことを可能にする技術だ。

 マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、デューガン氏率いる開発チームの下で進められているプロジェクトによって、将来的には写真や映像を共有するのと同じように、それぞれの思考を共有することができるようになるだろうと自らのページに書いた。「最終的には、量産可能でウエアラブルな技術に落とし込みたい」ともしている。(c)AFP/Glenn CHAPMAN