【4月15日 AFP】米大リーグ(MLB)の名選手として知られ、米野球殿堂(Baseball Hall of Fame)入りも果たしているロッド・カルー(Rod Carew)氏が、昨年12月に心臓移植手術を受けた際、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)、元ボルティモア・レイヴンズ(Baltimore Ravens)のTEコンラド・ルーランド(Konrad Reuland)から臓器提供を受けていたことが明らかになった。同球団が公式ウェブサイトに掲載した「一羽のレイヴン(カラス)の心臓(Heart of a Raven)」というエッセイで明かしている。

 1年以上前に最初の心臓発作に襲われたカルー氏は、命にかかわる合併症を抱え、臓器移植希望者リストのトップに挙げられていたが、昨年12月に脳動脈瘤(りゅう)を患って29歳の若さで亡くなったルーランドの心臓を移植された。

 レイヴンスで昨季4試合に出場したルーランドの心臓を提供されてから3か月後、カルー氏は同選手の家族と面会。ルーランドの母親メリー(Mary)さんは、カルー氏を抱きしめて「あなたは私たちの家族の一員です」と話したという。

 これに対してカルー氏は「永遠に」と答え、「この心臓を大切にします。私は2度目のチャンスを与えられたのですから。神は私の気持ちと、彼のために何をしていくかご存じだ」と話したと、レイヴンズのウェブサイトで伝えている。

 現在71歳のカルー氏は、2015年9月20日に米カリフォルニア(California)州コロナ(Corona)でゴルフをしていた際に心臓発作に襲われた。6時間に及ぶ手術を受け、死の淵に立たされた同氏はまた、血栓を除去するために脳にメスを入れたほか、もはや完全に機能しなくなった心臓に血液を循環させる手助けをする器具も装着された。

 腎臓移植の手術も受けたカルー氏は、心臓疾患への意識を喚起して予防につなげるため、ミネソタ・ツインズ(Minnesota Twins)とカリフォルニア・エンゼルス(California Angels、当時)で輝かしいキャリアを築いた現役時代の背番号29にちなみ、「ハート・オブ・29キャンペーン」という活動を立ち上げている。

 MLBオールスター(MLB All-Star Game)に通算18回選出され、ツインズで計12シーズン、エンゼルスで計7シーズンを過ごしたカルー氏は、ア・リーグで首位打者を計7回獲得したほか、同リーグで打率.388の成績を残した1977年には最優秀選手(MVP)を受賞し、1985年に現役を引退。キャリア通算で合計3053安打、打率.328という数字を残し、1991年に殿堂入りを果たした。(c)AFP