【3月16日 AFP】スマートフォンアプリで遠隔操作を行えるバイブレーターのメーカーが、ユーザーの「極めて私的で繊細なデータ」を集めていたとして訴えられていた裁判で、メーカー側が賠償金を支払うという和解案が提示されたことが明らかとなった。

 「スマート」バイブレーター「We-Vibe」を製造するカナダの企業は先週、賠償金として375万ドル(約4億2500万円)を支払うことで合意したという。

 We-Vibeは「性行為中にも装用できる唯一のバイブレーター」、「Gスポット(女性の膣内にあるとされる性感帯)、クリトリス(陰核)、ペニスを同時に刺激できる」といったうたい文句で販売されており、ユーザーはスマートフォンのアプリを使って遠隔操作も可能だという。

 しかし昨年、製造元の親会社であるスタンダード・イノベーション(Standard Innovation)が、ブルートゥースに接続されたアプリ経由で「極めて私的で繊細なデータ」を収集し、カナダにあるサーバーにデータを送信していた疑いがあるとして、米シカゴ(Chicago)で集団訴訟が起こされた。

 訴えによると、スタンダード・イノベーションは、ユーザーの「好みのバイブレーション強度」や振動モード、パターンといったデータを同意なしに「傍受した」という。

 今回の集団訴訟は、ハッカーたちの年次集会「デフコン(DefCon)」で昨年、データが不正にアクセスされ、理論上は誰もが操作できる可能性があるなど、We-Vibeのモバイルアプリにおけるセキュリティーの欠陥が明らかにされたことを受けて起こされた。

 裁判文書によれば、和解が成立した場合、アプリのユーザーは最大1万ドル(約110万円)を、バイブレーターの購入者は199ドル(約2万2500円)を受け取る可能性がある。(c)AFP