【3月8日 AFP】アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相と一緒に自分撮り写真を撮ったことを機にネット上で人種差別的な書き込みの標的となったシリア難民の男性が、これらの書き込みの削除などを求めてフェイスブック(Facebook)を訴えていた裁判で、ドイツの裁判所は7日、男性の訴えを退ける判決を言い渡した。

 原告のアナス・モダマニ(Anas Modamani)さん(19)は、フェイスブックの欧州子会社フェイスブック・アイルランド(Facebook Ireland)に、数えきれないほどシェアされた中傷的な偽ニュースの拡散の中止を命じるよう裁判所に求めていた。

 ドイツ南部ビュルツブルク(Wuerzburg)の裁判所は、原告男性があたかもイスラム過激派による襲撃事件や暴力犯罪に関与していたかのように思わせる書き込みのような中傷的な情報を積極的に探し出して削除する義務はフェイスブックにはないと判断した。

 モダマニさんと弁護士はフェイスブックに対し、指摘した投稿だけでなく、メルケル首相と一緒に写った写真を使ったすべての中傷的な書き込みを削除するよう要求していた。原告側は、著作権で保護された音楽や、裸の画像を削除する場合と同じように、同社はアルゴリズムを使って該当する書き込みを自動的に見つけられるはずだと主張していた。

 しかし裁判所は、フェイスブックはこれらの書き込みの「所有権を主張していない」として、一義的な責任は書き込みや投稿をした人物にあるとの見方を示唆した。

 裁判所は、原告が「重傷を負う」事態となればフェイスブックに書き込みを見つけるための「取り組みを強化」するよう要求することができるが、「大きな技術的困難」を伴わずに実施できるか不明だと指摘し、この問題は情報技術の専門家を証人にすることができる別の審理で決着させる必要があるかもしれないと述べた。(c)AFP/Carsten HAUPTMEIER wih Frank ZELLER in Berlin