【2月27日 AFP】ドイツで2016年に難民やその収容施設に対する襲撃が3500件余り起きていたことが26日、内務省の新たな統計で明らかになった。1日当たり平均10件近く発生していた計算になる。

 同省の国会答弁書の内容をAFPが確認した。内訳は個々の難民に対する襲撃が2545件、難民や庇護希望者の収容施設を狙った放火などの襲撃が988件。これらによって計560人が負傷し、そのうち43人は子どもだった。

 政府は暴力行為を「強く非難する」とし、自国を逃れドイツで保護を求める人々は安全な避難所を求める権利があると指摘している。

 ドイツは欧州の難民危機が最も緊迫した2015年、国外からの庇護希望者約89万人を受け入れた。今回の統計はその直後に憎悪犯罪(ヘイトクライム)が急増したことを示すものだ。

 紛争や迫害を逃れてきた難民らに門戸を開放したアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の決断は、ドイツ国内に深刻な分断をもたらした。右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」はそれに乗じて支持を伸ばした。

 今月には、難民の収容施設に指定されていた高校の体育館に放火して全焼させ、350万ユーロ(約4億1400万円)相当の損害を与えた罪で、極右政党「ドイツ国家民主党(NPD)」の地方議員の男に禁錮8年の実刑判決が言い渡されている。(c)AFP