【2月8日 AFP】イスラエルで、政府がパレスチナ人の私有地をユダヤ人入植地用に収用することを認める法案が可決されたことについて、国際社会から批判の声が上がる一方で、米国は沈黙を保っている。

 イスラエル国会で6日夜に可決された法案は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のイスラエル占領地に無許可で建設された「アウトポスト(Outpost)」と呼ばれるユダヤ人入植地数十か所と入植者向け住宅数千戸を合法化するもので、パレスチナ側は国際社会に対しイスラエルへの制裁を求めている。

 法案に対しては、国連(UN)と英仏、さらにイスラエルの隣国ヨルダンが反発。国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は声明で、「同法案は国際法に違反しており、イスラエルには大規模な法的措置が講じられるだろう」と述べた。

 フランスはこの法案を、「2国家共存という解決策への新たな攻撃」と断じ、英国は「イスラエルと国際パートナーとの関係性を損なう」と批判した。

 一方で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領率いる米新政権はコメントを拒否し、入植批判を繰り返してきたバラク・オバマ(Barack Obama)前政権とは対照的な姿勢を示している。米国務省は、現政権は「前向きに全当事者としっかり協議する機会を持つ必要がある」と表明した。

 トランプ氏はイスラエルの入植問題でオバマ前大統領に比べて寛大な立場を示していおり、先月20日の同氏就任以降、イスラエルは今回の新法案とは別に6000戸以上の入植地住宅の建設を承認した。(c)AFP/Laurent Lozano