■米移住のため家を売ったイラク人一家、搭乗できず

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、トランプ大統領が大統領令に署名する前に米国行きの航空機に搭乗していた人々が到着時に拘束されるという事例も発生した。

 ニューヨーク・タイムズの報道によると27日、トランプ大統領が大統領令に署名した数時間後にケネディ国際空港(John F. Kennedy International Airport)から入国しようとした、イラク人難民2人が当局に拘束され、過去にイラク国内で10年間米政府のために働いていた男性1人はすでに解放された。

 また28日には、米国入国禁止の対象国ではないエジプトの首都カイロ(Cairo)で、トランジットのため米ニューヨーク(New York)のケネディ国際空港行きのエジプト航空(EgyptAir)便に搭乗しようとしたイラク人夫婦と子供2人が搭乗を阻まれた。空港当局によると、イラク人家族4人は全員米国のビザを所持していたという。

 一家は特別な移民ビザで米テネシー(Tennessee)州ナッシュビル(Nashville)に移住しようとしていた。夫は「ドナルド・トランプは私の人生を台無しにした」と語った。「私は家と車と家具を売った。私も妻も仕事を辞め、子供たちにも学校をやめさせてきたのに」

 米国自由人権協会(ACLU)などの人権団体は28日、トランプ氏の大統領令を受けて訴訟を起こした。集団訴訟にするよう求めている。

 国連(UN)は、米国が難民を受け入れ、人種や国籍、宗教にかかわらず平等に扱ってきた「長い伝統」を継続するようトランプ大統領に呼び掛けた。(c)AFP