■現出の早い人為的影響

 今回の研究は、83か所の海底堆積物コア採取地の分析に基づいている。この分析により、地球とその海が過去にどのくらい温暖だったかを知る手がかりが得られる。

 各コア採取地で収集したデータは、1870~1889年と、1995~2014年のデータとそれぞれ比較した。分析の結果、12万9000年前の地球の海面温度は「すでに1870~1889年の平均値と同等だった」ことが分かった。海面温度はその後4000年間にわたって上昇し、「1995~2014年の平均値に酷似した温度に到達」した。

 今回の研究結果は、さまざまな温度での海水位の推算に用いられている一部の科学モデルが過小評価だった可能性があることを意味している。

 科学者らはすでに、地球では近い将来に数メートルの海面上昇が起きる可能性が高いと予測している。この変化により、現在10億人の居住地域に相当する世界の沿岸地域が水没するという。

 今後数十年で海面がどのくらい速く上昇する可能性があるのかは誰にも分からないが、一部の専門家らは、今回の最新研究は警戒感を喚起するものだと述べている。

 英エクセター大学(University of Exeter)のアンドリュー・ワトソン(Andrew Watson)教授は、今回の研究結果には良い面と悪い面があるという。「長期的には、人間が引き起こしている温暖化に応じて少なくとも6メートル以上の海面上昇が発生することを、今回の研究は示唆している」

「良い知らせは幸運にも、海面はゆっくりと上昇し続けるため、人間がそれに適応するための時間が確保できることだ。だが悪い知らせは、現在の沿岸都市がある場所が最終的にはすべて水没してしまうということだ」(c)AFP/Kerry SHERIDAN