【1月19日 AFP】アフガニスタン初の女性のみで構成された楽団「ゾラ(Zohar)」が、スイス・ダボス(Davos)で行われている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演奏を披露する。性差別意識が残る保守的なアフガニスタンの社会環境から、音楽活動をめぐり家族の名誉を汚していると批判されたり、殺しの脅迫を受けたりしてきた楽団員たちは、世界の舞台に立ち、新しい運命を切り開こうとしている。

 ゾラは13歳~20歳の女性35人で構成されており、中には孤児や貧しい家庭出身のメンバーもいる。もうすぐ20歳になるゾラの指揮者について、アフガニスタン国立音楽学校(ANIM)と同楽団の創設者で音楽学者のアフマド・サルマスト(Ahmad Sarmast)氏は「アフガニスタン初の女性指揮者」だと誇らしげに語った。

 一方でサルマスト氏は、1996年~2001年のタリバン(Taliban)政権下で禁止され、今もなお一般的に認められない音楽を続ける女性たちが直面しているリスクは理解していると語っている。

 ゾラの女性指揮者は、父親は祖父から孫娘に音楽活動を続けさせるなら、親子の縁を切ると言われと話し、それ以降、一家はふるさとを離れ首都カブール(Kabul)に移り住んだと語った。カブールでの生活は厳しく、職もほとんどないが、いとこから「見つけたら殺す。お前は親族の恥だ」と脅されていたこの女性は「殺されるよりまし」だと語った。(c)AFP/Anne CHAON