【1月5日 AFP】数日にわたり地中海(Mediterranean Sea)を航海した末に陸地を発見し、目的地のイタリアだと思った移民たちが、幾人も水死する中で泳ぎ着いたのは、出発地と同じリビアだった──この悲劇的な結末に見舞われたのは、移民80人を乗せ、リビア西部のサブラタ(Sabratha)を出発した船だった。

 生存者の話によると、大半がセネガル国籍の移民を乗せ、荒波に3日間もまれながら、ついにボートが乗り上げた浅瀬は、首都トリポリ(Tripoli)東方約70キロに位置する浜辺だったという。

 ある生存者はAFPの取材に対し、「自分たちはもうイタリアに着いたものだと思っていた」と語った。目撃者の証言によると、ボートから数人が海に飛び込んで浜辺に向かおうとしたが、泳ぐことができず溺れてしまったという。

 無事に岸までたどり着いた人々の中には、妊婦を含む女性2人や子ども1人も含まれていたが、皆ショックを隠し切れない様子だったという。

 リビアの赤新月(Red Crescent)は、4日に乗客5人の遺体を浜辺で収容し、80人が避難施設に向かったと述べている。(c)AFP